七尾市および中能登町(石川県)
生ごみの減量と有効利用
直面した課題(ISSUES FACED)
人口が減少傾向にあるにもかかわらず(30nanaoshinosugata.pdf、7ページ)、年間の廃棄物総発生量は依然として多い(30nanaoshinosugata.pdf、17ページ)。これは、この地域の主要産業である観光業の比重が大きいことに起因している。食品ロスを減らす努力に加え、排出者とリサイクル業者の連携を強化することで、宿泊施設から排出される食品廃棄物を適切に処理することができる。食品ロスの削減努力に加え、排出事業者と再資源化事業者の連携を強化し、適正な食品リサイクルを推進することが必要である。
課題解決の対策方法、ステップ、ツール(METHODS, STEPS AND TOOLS APPLIED)
<和倉温泉「多田屋」での事例>
従来の懐石料理の形態をやめ、メニュー数を削減。2021年4月、食事のコースメニューが従来の5コースから1コースに絞られた。コースメニューの数を絞ることで、食材の仕入れを一本化し、地元の食材を使った食事をお客様に提供できるようになった。
成功の主要因(KEY FACTORS FOR SUCCESS)
<和倉温泉「多田屋」での事例>
コロナウイルスの感染拡大で旅館が休業していた時期が、この取り組みを実施する絶好のタイミングとなった。 宿泊客に対応していたスタッフが、厨房スタッフとともに、食品ロスの削減、食品在庫の削減、地元食材の利用拡大というミッションに取り組んだ。 従来、食事のコースは部屋のグレードに合わせて調理されていた。食品残渣を減らすため、コース数を5つから1つに絞ることにした。これに伴い、料金体系も見直した。 また、食材や食器の大規模な棚卸しを行い、現状を認識することも重要だった。
得られた知見(LESSONS LEARNED)
<和倉温泉「多田屋」での事例>
客室グレードの幅に合わせて、5コースから1コースに絞る大胆な料金改定を実施。コース数の絞り込みについては、リピーターなど主要顧客に多田屋の新しいコース料理の考え方を理解・納得してもらうため、食事会の開催やホームページでの情報発信を行った。
成果と実績(RESULTS AND ACHIEVEMENTS)
<和倉温泉「多田屋」での事例>
料理の品数を大幅に減らすことで、調理残渣による食品廃棄物を削減した。また、提供するコース料理を統一することで、料理のバリエーションではなく、素材である野菜や魚の種類や大きさに合わせた調理が可能になった。季節ごとにメニューが変わっても、毎月少しずつ変更することで、大量注文によるロスを減らしている。また、料理のバリエーションを減らすことで、付け合わせの数も減らすことができた。こうした取り組みの結果、日常的に発生する食品廃棄物の量が大幅に削減された。 この取り組みにより、調理工数も削減され、できたての料理をお客様に提供できるようになったほか、旬の地元食材を提供しやすい環境も整った。