三浦半島(神奈川県)
葉山海岸ゴミゼロナビゲーション(エコステーション)プロジェクト
直面した課題(ISSUES FACED)
葉山町では、海岸のゴミ箱に捨てられるゴミの量が膨大かつ分別できない状況であったことから、ゴミ箱を撤去しゴミの持ち帰り運動を始めた。ゴミの全体の処分量は減ったが、特に海水浴場開設時に海岸背後地の住宅街へのゴミの不法投棄が増えることとなった。
課題解決の対策方法、ステップ、ツール(METHODS, STEPS AND TOOLS APPLIED)
単にゴミ箱を設置してしまうことは、ゴミのコントロールができない従前の状態に戻ってしまうため、ゴミを回収分別が管理できるよう、有人のゴミ回収所(=エコステーション)を設置した。ゴミの分別については、管理者側で行うのではなく、海水浴場利用者自らが分別して捨てるよう促す形をとることで、利用者のマナー意識向上を図っている。また、エコステーション配置する人をボランティアとして募集することで、参加者が海水浴場に来訪するきっかけともなりエコツーリズムとしての効果も得られる事業となっている。
成功の主要因(KEY FACTORS FOR SUCCESS)
他のイベントでゴミ回収プログラムの実績のあるNPO団体により事業運営を委ねたことで、現場でのオペレショーション等を円滑に行う事ができた。行政職員や事業者など、設置者(管理者)側の人間ではなく、利用者と同じ立場のボランティアに対応してもらうことで、ゴミを捨てる人間と円滑なコミュニケーションがとれ、ゴミ回収時のトラブルの軽減に繋がっている。
得られた知見(LESSONS LEARNED)
ゴミの処分については観光地側のサービスとの認識が高く、当初すべて有料としていた際は、エコステーションを控える利用者も多かった。ゴミの処分費に対する意識の変革は求めつつ、利用の促進を図るため、リサイクル可能なビン・缶・ペットボトルについては無料とすることで、利用者の意識とバランスがとれて、利用が進みまた、分別の徹底にも繋がった。ゴミ箱が常設されている、不法投棄の回収が頻繁に行われるなど。分かりやすい手段が求められることが多いが、これらは長期的なゴミの削減には繋がらない。海岸(海水浴場)利用者の意識を変える試みを続けていくことが大事。
成果と実績(RESULTS AND ACHIEVEMENTS)
2019年は、エコステーションで資源(ペットボトル、缶、瓶)を1,150kgを回収し、リサイクル工場へ運搬した。開始当初2016年と2019年を比較すると、資源ゴミ(ペットボトル、缶、瓶)の回収量は全体として増加している。実際に、ボランティアがゴミルールの看板を持って海岸を歩きながら、ゴミ資源回収を呼び掛ける等の活動は、海水浴場の利用者の意識向上に繋がった。また、葉山町では、2019年度の計15日間の実施期間中、計130名のボランティアが参加した。そのうち、13歳~22歳のボランティアは、約93%を占め、若者が中心となってボランティアが進められている。